2008/03/23

自動車のエンジンブレーキでエネルギーはどこへ行く→全てが熱に

Q:
エンジンブレーキで減速する場合ですが、運動エネルギーをどのように放出して減速しているのでしょうか
A:
プリウスのようなハイブリッドエンジンでは、エンジンブレーキのように「回生ブレーキ」がかかります。
運動エネルギーをモーター(発電機)で電気エネルギーにしているのですね。

一方、通常の4サイクルのエンジンでの、エンジンブレーキであれば、やはり「運動エネルギー」は「熱エネルギー」に変わります。
「ガソリンの噴射を止めて、燃えるものがなくなった空気を、圧縮することで抵抗になる」というのは、完全な説明になっていません。

4サイクルのうちの圧縮行程としては正しいのですが、圧縮された空気は爆発がなくとも同じ力で膨張しようとしますから、次の膨張行程でピストンを押してしまうため、エンジンブレーキにはならないのです。

厳密には次の3つのものがあります。
・機械的な摩擦によるもの「フリクションロス」と呼ばれる摩擦による抵抗です。
・吸気行程・排気行程で、小さいバルブの隙間を空気が通ることによる「空気抵抗」によるロス
・圧縮行程で発生した熱がエンジンの冷却水などで冷やされてしまい、膨張行程では100%未満の力でしか働かないことによるロス

意外と難しい話です。
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当初、私もフリクションロスと、圧縮による抵抗だけだと思っていた。
しかし、エンジンブレーキは、上記のような「空気抵抗」ロス及び、圧縮したときの熱が奪われることによるエネルギーロスの二つが、ポンピングロスとして発生してしまう。
結構、難しい。