2006/11/21

氷になると体積が増えるのはなぜ?

Q:なぜ水は固体になるとき体積が大きくなってしまうのでしょうか?
A:
水の分子の形に秘密があります。
H2Oという水の分子は、水素-酸素-水素が一直線ではなく折れ曲がっているのはご存じでしょう。これです。

電子が酸素側に引きつけられるため、中央部分がマイナス、両端がプラスの電荷を持つようになります。
そのため、水分子が結晶となるときに、水分子の両端は、他の水分子の中央部分に引きつけられます。水分子が折れ曲がっているため、結晶は規則正しく正三角形が組み合わさった正四面体を構成するように整列します。
水分子が液体の時(摂氏4度ごろ)は規則正しく整列しないので、狭いところに多くの分子がいても平気なのです。しかし、固体になると整列しなくてはならなくなります。その分、体積が大きくなるのです。

このような水分子の性質(折れ曲がっていること)は、固体になったら体積が大きくなる事以上に生命にとって極めて重要なことなのです。
水分子に電気的にプラスとマイナスの部分があるので、塩化ナトリウムなどの物質が水に溶けやすいのです。
無機物だけでなく有機物も水に溶けるものが多くあります。
何十億年も昔に生命が海で生まれたのも、色々な物質が水に溶けていたことで可能になったと言えます。
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回答した以外にも、H2Oが折れ曲がっていることで電子レンジで加熱が可能になっていることもあるのだけど、あまり大切な話ではないと思って省略した。
水は実に不思議な物質だ。
人間にとって身近な温度の範囲で個体・液体・気体に変化する。
なによりも素晴らしいのが様々な物質を溶かすことができることで、生命の元と言えるぐらいだ、という事を伝えたかった。